フリースタイルダンジョンを機に日本でブームが巻き起こっているラップバトルですが、勝敗を判定する審査員の“誤審問題”は昔からよく言われております。
地上波で放送されているフリースタイルダンジョンを見ても「え、何で今こっちの勝ちなの?」「勝敗ってどうやって決めてるの?」思ったことは1度や2度じゃないはず。

私は現在、フリースタイルダンジョンを見ていて「あ、今の試合は〇対〇で呂布が勝ったな~」というふうに勝敗だけじゃなく票の割れ方まで当てられる(50%くらいの確率で)のですが、番組見始めてすぐの時は全く分かりませんでした。(もはや審査員が適当にボタン押してるように見えた。)

そこで今回は、フリースタイルダンジョンに絞って審査基準と審査員の質について詳しく解説していこうと思います!

ラップバトルの明確な審査基準は?

審査員はバトルの何を見て勝敗を判定しているのでしょうか。踏んだ韻の数か、それともフロウやグルーヴなどのテクニックに明確な点数があるのか非常に気になるところですよね。

しかし、答えを言ってしまうと明確な審査基準は一切ありません

スポーツであればゴールにシュートが決まった数とか、ホームベースを踏んだ数とか、タイムや距離など勝敗を決めるための明確な基準があります。

ラップバトルにおいては、審査員はラッパーが踏んだ韻の数をあまり数えていません。理由は、数えようとしてもメモが追い付かなかったり、ラッパーの押韻が上手すぎて韻を踏んでいることに気づかない場合もあるからです。それに、フロウやグルーヴ、バイブスなどにはそもそも点数なんて付けられません。

にもかかわらず、バトルが終わってすぐにジャッジを求められるため、記録したものを見返して比較する時間もありません。

そのためラップバトルに明確な審査基準を設けるのは極めて困難(不可能)であり、審査員の主観・直感に100%委ねられる特殊な競技であると言えます。

フリースタイルダンジョンの審査員

ラップバトルの審査方法は大会によって異なり、観客の多数決で勝敗を決める大会もあれば審査員の判定+観客の多数決で決める大会、そして審査員の判定のみで勝敗が決まる大会もあります。

フリースタイルダンジョンは5人の審査員の多数決によって決まります。

審査員はKEN THE 390(ケンザサンキュウマル)、ERONE(エローン)、Lily(リリー)、いとうせいこう、ゲスト審査員(収録によって変わる)の5人です。

ケンさんとERONEさんは長年バトルの現場を経験してきたベテランのラッパーなので、ラッパー目線の審査が特徴的です。

Lilyさんの主な肩書は「作家」「コラムニスト」ですが、昔は短期間ではあるもののMCとしてラップバトルをしていたことがあり、大会の優勝経験もあります。

いとうせいこうさんはタレント、俳優、作家など多くの肩書を有していますが、実は日本にラップを広めた第一人者です。さらに自身も一時期MCとしてラップバトルをしていた経験があるようで年数で言えばどのラッパーよりも長い期間ラップに携わってきたと言えます。

「Lilyストップ」と「せいこうストップ」

しかし、レギュラーで審査員を務めている4人のうち、Lilyさんといとうせいこうさんの審査に違和感があるという声が多く「審査員はケンさんとエローンさんだけでいい」といった声すらあります。

実際、他の4人は赤(モンスター)のボタンを押しているのに、Lilyさんだけ青(チャレンジャー)のボタンを押していたり、せいこうさんも一人だけジャッジがはぐれることがしばしばあります。
これを、以前漢 aka Gamiさんが「Lilyストーーーップ!!!」と叫んだことから「Lilyストップ」「せいこうストップ」と名付けられるようになりました。

ただ、私が今までダンジョンを見てきた限りでは、Lilyさんの中の判定基準は「感情」と「アンサー」にある気がします。
「感情」というのは熱意や魂でどれだけLilyさんの心を揺さぶったかで、「アンサー」は相手のディスや問いかけに対してどれだけ質の高いアンサーが出来ているかということです。
そのため、Lilyさんの審査コメントで「~~~という返しに私は『ん?』と思いました」とか「~~~なところがすごくカッコいいと思いました」というのが多いのだと思います。

いとうせいこうさんの審査の特徴は言葉にするのが非常に難しいです。というのも、せいこうさんが独特な感性や視点を持っているため、私含め一般の人には理解しづらいからです。しかし、「なるほど、確かにその観点から言うとせいこうさんのジャッジは正しいな…。よくそんな視点から物事を見れるな」と時々感嘆してしまうこともあり、あるいみ唯一無二な審査員だと私は考えています。

LiLyさんとせいこうさん2人に言えることは、作家やタレント業で培ってきた独特な感性が審査に影響していることです。

ラップバトルに誤審はない

じゃあLilyさんやせいこうさんが、他の審査員とジャッジがはぐれた時は誤審なのかというと、誤審ではありません。

というか、はっきりといいますがラップバトルに理論上「誤審」はありません。

上述したように、ジャッジに明確な基準はなく審査員の主観・直感に100%委ねられているので、逆に言えばどんな判定をしても誤審とは言えないのです。
仮にラップを知らない一般人がテキトーにジャッジしてもそれは誤審とは言えません。

Lilyさんもせいこうさんも長年HIPHOPに携わってきているため、少なくとも私のようなフリースタイルダンジョンでラップにハマった人間よりかはよっぽどラップのことを知っているのです。

ただ、感性が独特なので多くの視聴者や他の審査員と「ジャッジする上で大切にしているポイント」が違うだけと言えます。

勝敗判定に実は法則(傾向)がある!?

審査員の判定基準はそれぞれで異なりますが、トータルでみれば勝敗が分かれる法則(傾向)があることが分かりました。

上手な韻を踏むラッパーが勝ちやすいのか?フロウやグルーブのスキルか?それともバイブスか?

違います。結論、「オーディエンスをより盛り上げた方が勝つ」というのがラップバトルでの勝利法則です。オーディエンスというのは、観客と審査員のことです。
ほぼ必ず、相手よりオーディエンスを盛り上げた方の勝ちとなります。

一見FORKやR-指定のように上手な韻を踏むことが重要なのかと思いがちですが、呂布カルマやNAIKA MCはあまり韻を踏みません。にも関わらず圧倒的な強さを誇るのは、パンチラインでオーディエンスを盛り上げられるからです。

それに崇勲やミステリオは笑いで会場を盛り上げる力を持っています。MU-TONやT-PABLOWは圧倒的なラップスキルで会場を沸かすことが出来ます。

それぞれ武器やスタイルは違いますが、自らの持ち味で相手よりもオーディエンスを沸かせた方に軍配が上がることが多いです。

フリースタイルダンジョンの審査員の構成は完璧!?

確かに、正直私から見ても視聴者が納得する判定をしているのはKEN THE 390とERONEの2人です。生粋のラッパーだし、まだバトルの現場にいますからね。

しかし、もしラップバトルの審査に明確な基準や「正しい審査」なんてものがあれば、そもそも審査員は5人もいりません。もしケンさんとERONEさんの審査が正しいのなら、審査員はその2人のうちのどちらか一人で十分じゃないですか?

それなのに5人もいる理由は、多角的な視点によりバトルの勝敗を決めたいからに他なりません。

もし5人とも同じ判定基準を持つ審査員であれば、クリティカルヒットは簡単に出ます。しかし5人とも判定基準が違い、Lilyさんやせいこうさんのような独特な感性・視点をもつ審査員がいるからこそ、全員の票を獲得してクリティカルヒットを出すのが難しいわけです。

そう考えると、異なるタイプの審査員がバランスよく組み込まれているため、フリースタイルダンジョンの審査員の構成は完璧であるといえます。この辺はさすがZeebraさんですね。

まとめ

まとめです。

・ラップバトルに審査基準はない
・各々の審査員の主観・直感に100%委ねられている
・だからラップバトルの審査に「誤審」は存在しない
・Lilyさんといとうせいこうさんのジャッジは独特だが、2人ともダンジョンに欠かせない審査員
・フリースタイルダンジョンの審査員の構成は完璧であること

でした。
最後までありがとうございました!