10万部ベストセラーの印税は？　著名編集者が明かす“夢の印税生活”の現実「食っていけない」のポイントをまとめてみた

2024年6月25日

本の未来を見据える: 箕輪厚介氏が語る出版の現状と課題

昨今、書籍の出版がどのような意味を持つか。その答えを探るためには、まず出版業界の現状と課題を理解する必要があります。今回は、幻冬舎の編集者であり、ユーチューバーや実業家としても活躍する箕輪厚介氏の視点から、出版業界の現状について掘り下げてみましょう。

読者の本離れ以上に著者の本離れが加速する理由

6月25日、箕輪厚介氏はX（旧ツイッター）を更新し、書籍の出版によって得られる印税についての見解を述べました。彼は、「読者の本離れ以上に著者の本離れが加速する」と警鐘を鳴らしています。現代において、読者が書籍を手に取る機会が減少していることは周知の事実ですが、同時に著者自身も出版という選択肢を避ける傾向が強まっているのです。

その背景には、YouTubeやその他のデジタルメディアの台頭があります。動画コンテンツは視覚や聴覚に直接訴えかけるため、一度に大量の情報を伝えることが可能です。一方、書籍は読むこと自体が時間を要する活動であり、特に忙しい現代人にとっては手軽ではありません。結果として、著者は自分のメッセージをより迅速かつ多くの人に届けるために、動画や他のデジタルメディアを選ぶようになっているのです。

出版の意義 – なぜ本を出版するのか？

それでは、なぜ著者はあえて本を出版するのでしょうか？箕輪氏は、書籍の出版が持つ「永続性」と「深み」に注目しています。SNSや動画プラットフォームは一過性の情報が多く、情報の賞味期限が短い特徴があります。それに対して、書籍は一度出版されると長期間にわたり読み継がれる可能性があります。これは、著者にとっては自分の考えやメッセージを長期にわたって伝える手段となり得るのです。

さらに、書籍は深い知識や複雑な問題を丁寧に説明するのに向いています。一冊の本を通じて、テーマに対する多角的な視点や詳細な分析を読者に提供することができます。この点において、本の持つ価値は他のメディアとは異なるものであり、書籍として発表することによって著者の専門知識や思想がさらに際立つのです。

本の価値を再認識するために – より良い出版の仕組み作り

箕輪氏はまた、出版業界全体がより持続可能で魅力的な仕組みを構築する必要があると強調しています。現状では、多くの著者が書籍の印税だけでは生計を立てるのが難しいと感じており、その結果として出版活動から遠ざかってしまうことがあるのです。

これを防ぐためには、出版社と著者がより緊密に協力する必要があります。例えば、書籍のプロモーション活動を積極的に行い、より多くの読者にリーチするための戦略を共有することが考えられます。また、新しい収入源としてオンラインでのマスタークラスや講演会など、書籍と連動した多角的な活動を推進することも一つの方法です。