内閣府の賃上げアイデアコンテストで「優勝」、「残業時間から個人事業主に」案は脱法? 社労士が懸念点指摘: J-CAST ニュースのポイントをまとめてみた

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内閣府の「賃上げを幅広く実現するための政策アイデアコンテスト」で優勝したアイデアは、定時以降に従業員が個人事業主として業務を受託することで、企業は社会保険料を削減し、従業員は手取り収入が増えるというものでした。このアイデアに対し、SNS上で「偽装委託」や「働かせ放題」、「実際には手取りが増えない」などの懸念や批判が多数寄せられました。内閣府は批判を承知しつつも、斬新な発想を重視して選んだとしていますが、法改正や新たな財源を必要としない点も強調されています。

賃上げアイデアコンテストの優勝案に疑問の声が広がる

内閣府が主催した「賃上げを幅広く実現するための政策アイデアコンテスト」で優勝したアイデアがSNS上で物議を醸しています。この優勝案は、従業員が定時以降は個人事業主として業務を受託することで、企業は社会保険料を削減し、従業員は手取り収入が増えるという内容です。しかし、このアイデアにはさまざまな懸念と批判が寄せられています。

アイデアの内容とその利点

内閣府のウェブサイトによると、このコンテストは「賃金が上がることが当たり前」という意識を広めることを目的として、内閣府や他省庁、地方自治体、民間企業などからアイデアを募集しました。2024年6月14日に受賞アイデアが発表され、その一つがSNSで話題となりました。

この優勝アイデアでは、以下のような利点が説明されていました。

  • 従業員目線: 定時以降の業務を個人事業主として受託することで、社会保険料や所得税が引かれず、手取り収入が増える。
  • 企業目線: 社会保険料を負担する必要がなくなり、コスト削減ができる。

具体的には、従業員が定時以降に受託する100万円の業務に対して、通常の残業では手取りが約79万円になるところ、業務委託契約ではそのまま100万円が受け取れると説明されています。また、企業側から見ても、通常の残業でのコストが1150万円かかるところ、業務委託では1000万円に抑えられるとしています。

SNSでの批判と懸念

このアイデアがSNSで拡散されると、多くのユーザーから批判と懸念の声が上がりました。主な意見としては以下のようなものがあります。

  • 偽装委託の可能性:

    • 契約上は業務委託であっても、実際には発注者と労働者の間に指揮命令関係が生まれる「偽装委託」になるのではないかという懸念。
  • 働かせ放題のリスク:

    • 実質的に「働かせ放題」になるリスクがあるといった指摘。
  • 手取りの実質的な増加にはならない:
    • 従業員自身が社会保険料や税金を支払う必要があるため、実質的な手取り収入の増加にはならないのではないかという疑問。

実際にSNSでは、「これを入賞させたらあかんやろwww」「脱法行為を『政策アイデアコンテスト』で優勝させる内閣府キッツイ」といった批判が多く見られました。

専門家からの懸念と内閣府の見解

J-CASTニュースの取材に応じた社労士も、このアイデアには懸念点が多いと指摘しました。特に、「偽装委託」や「働かせ放題」のリスクは無視できない問題です。

内閣府は、これらの批判については承知しているとし、「自由な発想や斬新性」を重視してアイデアを選んだと説明しています。しかし、批判の声が収まる気配はありません。

法改正や新たな財源を必要としない賃上げ方法

このアイデアの最大の特徴は、「法改正や新たな財源を必要とせずに従業員の手取り額を増やすことができる」という点です。また、「リスキリングを必要としない副業である」というポイントも強調されています。

内閣府が公開した資料には、従業員目線と企業目線の両方からのキャッシュフローの比較が示されています。これにより、一見すると非常にメリットが大きいように見えるのですが、実際には多くの専門家が懸念点を指摘しており、これが現実的な解決策かどうかは疑問です。

今後の展望と課題

このアイデアが実際に採用されるかどうかは現時点では不明ですが、SNS上での批判を受けて再検討が必要になるでしょう。企業と従業員の双方にとってメリットがあるように見える一方で、多くのリスクが指摘されているため、慎重な策定と適切な監視が求められます。

今後の課題としては、偽装委託の防止策や、従業員保護のための制度作りが挙げられます。これらの問題に対応しないまま急いで実行に移すことは、労働環境の悪化を招く恐れがあるため、十分な議論と準備が必要でしょう。

終わりに

内閣府が主催した「賃上げを幅広く実現するための政策アイデアコンテスト」で優勝したアイデアは、一見すると革新的で魅力的に見えますが、多くの課題と懸念が指摘されています。自由な発想と斬新性を評価する一方で、実現可能性や実行リスクについてもしっかりと検討することが求められます。今後、このアイデアがどのように進展するのか注目されます。

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