村上春樹「素晴らしい音楽も、政治や社会状況とは無縁でいられないんだなあと」当時のブッカーT・ジョーンズの音楽活動から考える のポイントをまとめてみた

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村上春樹のラジオ番組「村上RADIO」特集 ~ソウル・インストルメンタル・グループ~

作家の村上春樹さんがディスクジョッキーを務めるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」。毎月最終日曜の19:00~19:55に放送されています。

さて、2024年8月25日(日)の放送回では「村上RADIO~ソウル・インストルメンタル・グループ~」と題し、1960年代のソウル・インストルメンタル・グループを特集しました。今回のエピソードは、ブッカー・T&ザ・MG’sのリーダー、ブッカーT・ジョーンズの自伝『Time Is Tight』に触発され、村上さんがその時代と場所に思いを馳せながらお送りしました。

このブログでは、放送された後半の4曲とクロージング曲について村上さんのコメントと共に紹介します。

もくじ

ベンチャーズ「Last Night」 & 「Green Onions」

まず意外な選択として登場したのは、ベンチャーズです。もちろんベンチャーズは白人バンドであり、通常はソウル・インストルメンタル・グループのカテゴリーには入りません。しかし、1960年代後半になると彼らも黒人グループのパワフルな演奏に注目し、その手法を取り入れていきます。

特にマーキーズのヒットソング「Last Night」とブッカー・T&ザ・MG’sの「Green Onions」を披露する際にはホーンやオルガンが導入され、本格的な黒っぽいサウンドを見せます。「え、これがベンチャーズ?」と思うほどの変化です。ただ、「じゃあ、ベンチャーズの持ち味って何なんだ?」と問われると少し困るかもしれません。

それでは、ベンチャーズの「Last Night」そして「Green Onions」をお聴きください。

レス・マッキャン Ltd.「Boo-Go-Loo」

次に紹介されるのは、1960年代後半に登場したソウル・インストルメンタル・グループのムーヴメントにジャズが呼応した例です。ここではレス・マッキャンのグループが演奏する「Boo-Go-Loo」を聴いてみましょう。

ジミー・スミス「Respect」

オルガン演奏の巨匠、ジミー・スミスがアレサ・フランクリンのヒットソング「Respect」をカバーしています。オルガンの魂が伝わる演奏をお楽しみください。

ライル・リッツ「LIl’ Darlin’」 – クロージング曲

今日のクロージング音楽は、ライル・リッツのウクレレ演奏「リル・ダーリン」です。彼はジャズ・ウクレレ演奏の名手として知られていますが、ビーチボーイズのアルバム「ペット・サウンズ」ではベースを担当していたことで有名です。

彼はウクレレだけでは食べていけなかったため、優れたスタジオ・ミュージシャンとしてベースを弾くことが多かったそうです。しかし、ウクレレとウッド・ベースは同じ4弦でも大きさがかなり違います。その違いを楽しみながら、ライルの演奏をお聴きください。

結びに

ブッカーT・ジョーンズの自伝『Time Is Tight』によれば、音楽によって結ばれていたMG’sの4人のメンバーたちの間にも、時代の進行と共に亀裂が生じました。1968年にマーティン・ルーサー・キングが暗殺され、黒人社会に大きな衝撃が走りました。その出来事を契機にブラックパワーが急速に盛り上がる一方、白人のスティーヴ・クロッパーはその意義を理解しきれず、ブッカーTは失望を感じます。このような心情のズレがバンドの解体へと繋がっていきました。素晴らしい音楽も、時には政治や社会状況とは無縁でいられないことが、改めて感じられます。

番組概要

  • 番組名: 村上RADIO~ソウル・インストルメンタル・グループ~
  • 放送日時: 2024年8月25日(日)19:00~19:55
  • パーソナリティ: 村上春樹
  • 番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/

以上、「村上RADIO」の特集内容をお伝えしました。次回の放送もお楽しみに!

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