マルタ共和国の猫たちと人々の心温まる共存物語
地中海の島国マルタと猫たち
マルタ共和国は地中海に浮かぶ小さな島国で、東京23区の約半分の面積に53万人が暮らしています。しかし、この国にはそれを上回る数の100万匹近い野良猫が生息していると言われています。この猫たちとの共存を描いたドキュメンタリー映画「ねこしま」が2024年1月10日に公開されます。
映画『ねこしま』の特徴と魅力
この映画は、マルタで暮らす人々と猫たちのたくましくも温かな関係を追ったドキュメンタリーです。特に注目されるのは白猫ナーヌの物語。ナーヌは事故で左の前脚を失いましたが、レストランの元オーナーであるミシェルとその友人サルヴェが、ナーヌを保護し獣医の元へと連れて行く過程が描かれます。
理想的な共存関係
マルタの住民たちは、猫たちに対して深い愛情を持っています。彼らは猫の健康状態に細やかに気を配り、たとえ短期間でも猫たちの姿が見えなくなると、SNSでその情報を共有しあいます。このような互いを思いやる姿勢は、オーストラリア出身でマルタに移住したサラ・ジェイン・ポルテッリ監督によって淡々と、しかし深く描かれています。
猫と人間が教えてくれること
映画の中では、交通事故から見事に回復した猫や、監督お気に入りの猫ボブを始め、多くの猫たちが登場します。それぞれの猫たちは「わが道を行く」個性を持ち、人々はその個性を尊重しながら彼らを見守っています。さらに、一匹でも多くの猫に去勢手術を施す努力が必要とされる中、10代のボランティアたちもその活動に参加しています。
猫から学ぶこと
この映画の主人公とも言えるミシェルとサルヴェは、「1つの解決策が正解というわけではない」と語ります。猫たちは自らを癒やし、さらに人間をも癒やす力を持っており、その姿から人間が学べることは多い、と彼女たちは示唆します。
見るアニマル・セラピー
マルタの一年の300日は夏の日差しが降り注ぎ、その下で繰り広げられる猫と人々の関係は、まさに「見るアニマル・セラピー」とも言えるでしょう。この映画を通じて、猫たちの生き様とそれを支える人々の姿勢は、私たちにとって新たな気づきと癒しをもたらすかもしれません。
(筆者:相原斎/ニッカンスポーツ・コム/映画な生活)