村上春樹サイモン＆ガーファンクルの解散を振り返る「まさに絶頂期にあるチームが突然ぽっかり消滅してしまった。みんなびっくりしました」のポイントをまとめてみた

2024年12月31日

村上RADIO: ポール・サイモン・ソングブックを振り返って

作家の村上春樹さんがホストを務めるTOKYO FMの人気ラジオ番組「村上RADIO」は、毎月最終日曜日の19:00から19:55まで放送されています。12月29日の放送では、「村上RADIO～ポール・サイモン・ソングブック～」と題して、1960年代から70年代を代表するシンガー・ソングライターであるポール・サイモンについて特集しました。この記事では、その放送の中から後半の4曲と、村上さんの印象深い言葉をお届けします。

アレサ・フランクリンと越路吹雪の名演

Aretha Franklin「Bridge Over Troubled Water」
越路吹雪「コンドルは飛んでいく」

アルバム『明日に架ける橋』は、制作に2年の歳月を要しました。サイモンとガーファンクルの音楽はさらに複雑さを増し、ガーファンクルは俳優業にも進出していました。それでもこのアルバムは大成功を収め、10週間にわたりチャートの1位を維持しました。アルバムからは「明日に架ける橋」、「セシリア」、そして「コンドルは飛んでいく」がシングルカットされ、大ヒットを記録しました。

アレサ・フランクリンが「明日に架ける橋」を、越路吹雪さんが「コンドルは飛んでいく」を歌い、それぞれの歌唱は見事な仕上がりとなっています。「コンドルは飛んでいく」は、アンダス地方のフォルクローレをポール・サイモンがアレンジし、世界中に広めました。『明日に架ける橋』という彼らにとっての最高傑作を最後に、サイモンとガーファンクルは解散します。まさに絶頂期にあるグループが突然消滅してしまったことに、多くの人が驚きました。ふたりが個々の道を歩む中で、音楽的な方向性の違いが出てきたのでしょう。

サイモンの新たな音楽性

Bob James「Take Me To The Mardi Gras」

二人は独立後、個々の音楽の幅をさらに広げていきました。ポール・サイモンは自身のスタイルを固定せず、多様な音楽ジャンルを取り入れ続けました。その中で、1972年にアルバム『ポール・サイモン』をリリースし、「母と子の絆」「僕とフリオと校庭で」といったヒット曲を生み出しました。これらの楽曲は、ジャマイカ録音やラテン音楽の影響を受け、サイモンの音楽は次第にワールド・ミュージックの色合いを帯びていきます。

1973年には『ゼア・ゴーズ・ライミン・サイモン』をリリースしました。このアルバムは、ザディコ音楽やゴスペルの影響を受け、多くの称賛を集めました。ボブ・ジェームズによる「マルディグラに連れてって」も軽快な演奏で魅了します。

時を超えたサイモンのメロディー

Ray Charles「Still Crazy After All These Years」

続いて1975年、サイモンはアルバム『時の流れに（Still Crazy After All These Years）』を発表します。これがヒットチャートの1位を記録し、グラミー賞も受賞しました。アルバムにはスティーヴ・ガッドやリチャード・ティーといったフュージョン系の一流ミュージシャンが参加しています。レイ・チャールズが歌うタイトル曲「Still Crazy After All These Years」は、その歌声によって鮮やかに彩られます。

クロージングナンバーとまとめ

Percy Faith「The 59th Street Bridge Song (Feelin’ Groovy)」

今回のポール・サイモン・ソングブック特集、いかがでしたでしょうか。サイモンは1980年代以降も活躍を続けましたが、今回の番組では1970年代までの彼の仕事を中心に取り上げました。

最後に、パーシー・フェイス楽団による「59番街橋の歌（Feelin’ Groovy）」で締めくくります。この曲は、フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」にも登場するクイーンズボロ・ブリッジを描いています。ニューヨーク・シティ・マラソンでこの橋を渡った村上さんは、その高低差を走ることがいかに大変かを語ります。