作家・小川洋子「家庭の医学」で見つけた人間の神秘
小川洋子さんの紹介
作家の小川洋子さんがTOKYO FMのラジオ番組「NOEVIR Color of Life」に出演しました。この番組ではフリーアナウンサーの唐橋ユミさんがパーソナリティを務め、毎回、各界で活躍する女性をゲストに迎え、彼女たちの人生観や価値観を聞き出します。
小川洋子さんは岡山市出身で、早稲田大学文学部を卒業後、数々の文学賞を受賞してきました。彼女の書いた小説「妊娠カレンダー」は芥川賞を、そして「博士の愛した数式」は読売文学賞や本屋大賞を受賞しました。
幼少期の愛読書は「家庭の医学」
この番組で小川さんは、幼い頃の読書体験として「家庭の医学」が最初の本だったと紹介しました。両親が本をあまり読まなかったため、家には文学書はなく、「家庭の医学」などの実用書が少しあるだけだったといいます。
そんな中、「家庭の医学」を手に取ってページをめくると、人体の不思議や人間の神秘に引き込まれていったと言います。それが、人間に対する興味の源だったそうです。
図書室で育まれた想像力
小川さんは学校の図書室が大好きで、そこで心が落ち着くと話します。彼女にとっては、一人でいても違和感のない空間であり、常に自分を受け入れてくれる場所だったと振り返っています。
また、本棚には岩波少年文庫が並んでおり、その全てを読みたいという欲求が強かったといいます。エーリッヒ・ケストナーやフィリッパ・ピアスといった作家たちの作品が彼女の想像力をかき立て、文筆家としての一歩を踏み出させたのです。
社会人生活で得た新たな視点
大学卒業後、小川さんは川崎医科大学の中央教員秘書室で働いていました。この時期、小説家としての活動とは別に、社会人としての常識を学ぶ重要な時期だったそうです。
この職場では、他者との関わりやコミュニケーションから多くを学びました。小説を書くことは基本的には個人の作業ですが、社会での経験を通して視野を広げ、自分の中に様々な視点を蓄えることができたといいます。
創作の楽しみと自己回帰
社会人として働きながらも、小説を書くことだけが彼女にとっての楽しみでした。職場での失敗や叱責の後も、小説の執筆があることで自分自身を取り戻すことができたと話しています。
どんなに未熟な作品であっても、書くことに喜びを感じる。小川さんにとって、それは自分の場所に戻って来られたという安心感の源だったのです。
ラジオ番組「NOEVIR Color of Life」の概要
「NOEVIR Color of Life」は毎週土曜の9:00〜9:30に放送されているラジオ番組で、唐橋ユミさんがパーソナリティを務めます。各界で活躍する女性をゲストに迎え、人生について語り合うこの番組は、多くのリスナーに魅力的なトークと音楽の時間を提供しています。
今後もますます多様な女性の視点を楽しむことができるでしょう。興味がある方は番組のウェブサイトもぜひチェックしてみてください。