スポ根が政治を揺るがす 痛快エンタメ作品「TATAMI」 – 映画な生活 – 芸能コラム : 日刊スポーツのポイントをまとめてみた

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映画「TATAMI」が描く柔道選手の闘いと政治のはざま

もくじ

1. サイード・モラエイの背景

2021年の東京オリンピックでモンゴル代表として柔道81キロ級で銀メダルを獲得したサイード・モラエイ選手は、元はイラン出身の選手でした。彼はイラン代表としての活動中、敵対国イスラエルの選手と対戦することを避けるため、意図的に負傷や棄権という形で途中敗退を強いられました。イラン政府からの圧力によって、彼は自らの実力を正当に発揮することができなかったのです。しかし、世界柔道連盟(IJF)の支持のもとで国籍を変更し、ついにその才能を開花させました。

2. 映画「TATAMI」

映画「TATAMI」は、こうした実話にインスパイアされて制作された作品です。この映画は、イランの女子柔道選手レイラがジョージアの首都トリビシで開催された世界選手権で同国初の金メダルを狙う姿を描いています。レイラは練習場でイスラエル代表ジャニと親しげなやり取りを交わしますが、監督のマルヤムはその関係を心配しています。

3. トーナメントの進行と圧力の増大

トーナメントが始まると、レイラは順調に勝ち進んでいきます。モノクロ映像で撮影された試合は、柔道の鋭い動きや技を際立たせます。レイラを演じるアリエンヌ・マンディは、ボクシングにも打ち込んでいるという経歴を持ち、その身体能力の高さがレイラの強さを表現しています。

一方で、イスラエルのジャニも順調に勝ち進み、二人は決勝で対決する可能性が高まります。そんな中、イラン当局からの「棄権要請」が監督のマルヤムに圧力をかけ始め、彼女はそれに対抗しようとします。過去に自らも棄権を強いられた経験を持つマルヤムの葛藤は非常に人間的で、観客の感情を引き込みます。

4. 作品の演出とキャスティング

監督の一人であるザーラ・アミールは、マルヤム役を演じるだけでなく、キャスティングから共同監督まで担当しました。彼女はイランを出国しフランスに亡命した背景を持ちます。また、もう一人の監督は「SKIN/スキン」で注目を集めたイスラエルのガイ・ナティヴです。この作品は、イランとイスラエルの2国によって共同監督された歴史的な作品でもあります。

5. スリリングな展開と政治の影

物語が進む中で、イラン工作員が選手権会場に現れたり、レイラの家族に危険が迫り、それらはスリリングな展開を生み出します。電話が唯一の連絡手段である状況で、電波の具合が悪いというハラハラする展開も見どころです。

6. 映画のメッセージ

共同監督の2人は、この映画をできる限り多くの人に届けたいと考えたに違いありません。映画は、政治とスポーツの問題を、イランとイスラエルの歴史的で深い対立を背景に描きつつ、エンターテインメント性にも十分配慮した作品に仕上がっています。この映画は、スポーツ界における政治的な圧力と、選手個々の苦悩を鮮やかに描き出しています。

今回ご紹介した映画「TATAMI」は、単なるスポーツ映画にとどまらず、複雑な国際政治問題をエンターテインメントとしても高いレベルで描写しています。多くの観客に届くことを期待したい作品です。

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